ランダムぽてとの配当生活

株式投資の配当金でセミリタイア生活しています。comipoで漫画も描いています。

外国税額控除には限度額がある。全額が戻ってくるわけではない

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どもー。ランダムぽてとです。

確定申告が始まりましたね。

納めすぎた税金を取り返してこよう!という事で確定申告を行いました。

取られたら取り戻す

確定申告の主な目的は「外国税額控除」の制度を利用してキャッシュバックを受けるためです。

 

私はコカ・コーラIBMなどの米国株に投資をしていますが、米国株の場合には配当金に対して最初にアメリカで10%の現地課税をかけられ、更に日本で約20%の税金がかけられ、最終的な手取りの配当金はガッツリと減ってしまっています。

 

ここで問題なのは、米国と日本で二重に課税されていることです。

そこで、確定申告で「外国税額控除」を利用して、外国でかけられた税を取り戻すのです。

 

馬鹿な・・全額は返ってこないだと・!?

 

配当金の10%が戻って来る!やったぜ!

なんて考えていた時期がありました。

 

ところが、税務署に行って外国税額控除の制度を利用して戻って来たのは全額ではなかったのです。

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え、何で?外国税の10%戻ってくるんじゃないの?

税務署の職員に「おかしい、10%戻って来るはずなんですよ(怒)」と何度か確かめたのは今となっては良い思い出です。いやぁ、お恥ずかしい(赤面)。

 

実はですね、外国税額控除には限度額があったのです。

 

【注意】外国税額控除の限度額

国税局のHPにしっかりと計算式が記載されています。

No.1240 外国税額控除|所得税|国税庁

 

国税額控除額の計算は、外国所得税の額が、次の算式により計算した所得税の控除限度額を超えるか否かによって異なります。

所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

  

具体例がないとよくわからんね。

年収400万円で独身の人のケースで考えてみましょう。

 

最初に計算式の分母「その年分の所得総額」を計算します。

年収400万の人の場合、給与所得控除額は400万×20%+54万で134万円となります。この134万円が収入(400万円)から控除され、所得金額は266万円となります。

(この給与所得控除額というのは、給与収入の額に対して一定の金額を差し引く仕組みです。自営業で例えると、商品の売上金額から仕入原価や販売経費などの、必要経費を差し引くイメージです。会社員の必要経費という感じ)

 

さて、外国株はコカ・コーラ株やIBM株を1,000万円分持っているとしましょう。配当は3%で年間30万円貰えるとします。

 

すると、その年分の所得総額 = 266万 + 30万で296万となります。これで「その年分の所得総額」が求まりました。

 

次に、その年分の国外所得金額を求めます。
その年分の国外所得金額は、配当金の30万です。国外所得金額はこれで終わり。

 

最後に「その年分の所得税の額」の計算です。

所得税の課税対象額を計算するには、年収から所得税控除額を引きます。

年収(400万円) - 所得税控除( A円) = B円

このB円に対して所得税率をかけると所得税額がわかります。

 

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まず所得税控除のA円を求めます。

A円=(①給与所得控除 + ②社会保険料控除 + ③基礎控除など)です。

他にも配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除などがありますが、今回は省略します。すみません。


①の給与所得控除を求める。
必要経費である給与所得控除額は400万×20%+54万で134万円

 

社会保険料控除を求める。
基本的には年収の14.22%程度のようなので、年間の社会保険料(目安)を計算すると
年収(400万円) x 14.22% = 56.9万円

 

所得税基礎控除を求める。
計算しなくていい。38万円と決まっている。

 

よって所得税控除のA円は
年収(400万円) - {給与所得控除(134万)+社会保険料控除(56.9万)+基礎控除(38万)} = 229万円となる。

 

所得控除額が求まったので、課税対象額を計算します。
年収(400万) - 所得税控除(229万) = 171万円

 

所得税額を計算する。

課税対象額(171万) x 5% - 控除額(0円) = 8.56万円

ここで所得税が85,600円と求まります。

 

さて、やっと所得税が計算できたので、外国税額控除額が計算できます。

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国税額控除の計算式はこうでした。

所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

 

計算すると、所得税の控除限度額=85,600×300,000/(2,660,000+300,000)=8,676円となります。この8,676円に対して控除したい外国税が超えているか超えていないかで場合分けがあります。

 


(1)外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合
国税額控除額は、外国所得税の額となります。

 

控除したい外国税の額がこの8,676円未満であれば全額控除可能です。

今回の例では株の配当30万にかかる外国税(10%)が3万円なのでオーバーしています。

その場合、次のように書いてあります。

 


(2)外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合
国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次の1又は2のいずれか少ない方の金額の合計額となります。

1 控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額
2 次の算式により計算した復興特別所得税の控除限度額
復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

 


1に関して計算すると、

控除対象外国所得税の額(3万円) - 所得税の控除限度額(8,676円) = 21,324円となる。

 

2に関して計算すると、
復興特別所得税額 = 基準所得税額 × 2.1%となるため、

個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|パンフレット・手引き|国税庁

 

85,600×2.1% = 1,797円

よって復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

1,797×300,000/(2,660,000+300,000)=182円となる。

 

1と2を比べると少ない方は182円の方。

 

国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次の1又は2のいずれか少ない方の金額の合計額となります。

よって、所得税の控除限度額(8,676円)+復興特別所得税額(182円)=8,858円

このケースの場合、8,858円が外国税額控除の限度額となります。

 

少なくない?・・・

 

国税額控除の繰越控除

実は外国所得税の額が控除限度額を超える場合には、道府県民税と市町村民税から更に控除できるのです。


次のように求めます。

道府県民税所得税の控除限度額(8,676円)×12%=1,041円
市町村民税=所得税の控除限度額(8,676円)×18%=1,561円

 

外国所得税(3万)-外国税額控除額(8,858円)-道府県民税(1,041円)-市町村民税(1,561円)=18,540円

 

まだ余る・・・・。

それでもまだ控除しきれないときは、3年間の繰越控除等が認められているようです。
詳細については、最寄りの税務署で聞いてくれ!

 

自分で計算しようとすると面倒くさいですが、確定申告のページで必要なところを入力すれば自動で外国税額控除の限度額は計算されて表示されます。安心して下さい。

 

それでは、また。 

間違いがありましたら、ご指摘ください。勉強し直してきます!

図解・表解 確定申告書の記載チェックポイント(平成29年3月15日締切分)

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フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。

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